2016年02月27日
お坊さんが書く「心の養生」 ②
禅宗では食事のまえに「五観の偈ゴカンノゲ」といわれるものを唱える。
「一つには、功の多少を計り、彼カの来所を量ハカる」。 目の前にある食べ物がこうして
供されるまで、どれほどの人々の労苦や心配があったかと想い、その食べ物が生きて
いた状態にまで思いを馳ハせる。
「二つには己が徳行の全欠と(を)吋ハカって供クに応ず」。 そんな食べ物をいただくに
ふさわしい行ないを、今日一日したかどうか考えてみる。
「三つには心シンを防ぎ、過貧等トガトントウを離るるを宗シュウとす」。 これをいただくことで、
自分は貪ムサボる心や厭イトう心を起こさないと誓う。
「四つには正に良薬を事とするは形枯ギョウコを療リョウぜんが為なり」。 この食事は良薬
を飲むように、身体を養うためにいただくのだと確認する。
「五つには道業ドウギョウを成ジョウぜんが為にまさに此の食ジキを受くべし」。 この食事は
釈尊の到達された境地を目指すためにいただくのだと覚悟を新たにする。
『養生事始』 著者・玄侑宗久/清流出版 より 続く
72歳、高齢者・障がい者後見人のブログです。
Posted by 黑田よしひろ at 10:43
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