2016年05月14日
『ゆとろぎ』と「楊名時太極拳」について
はじめに--もう一つの「老人と海」
(途中より) もうひとつの文明を考えてみるのに、わかりやすい鍵は、アラビア語で、
ラーハと呼ばれるものではないかと思えます。日常の生活のなかに、なにげなく存在
する「ゆとり」や「くつろぎ」です。
日本では、何かを成し遂げたあとに、ごほうびのように、あたえられるのが、ゆとりで、
それは物質的ゆとりであることが多いようです。それをめざして一生懸命に働いたから、
ちょっとくつろぎましょう、という具合に、「くつろぎ」も、「ゆとり」も、仕事のあとにくるもの
のようです。
しかしこの世界では、「ゆとり」と「くつろぎ」も人生のなかで、まず大事にされるべき
ものと考えられます。「ゆとり」の時間をもつために、仕事もする。が、仕事自体がラーハ
になればそれにこしたことはない。
ラーハには、「学ぶこと」、「ねむること」、「瞑想メイソウすること」、「旅をすること」など、
いろいろのものが含まれます。わくわくいきいきと生きていることがラーハであるといい
ます。
労働のあとに許されるごほうびとしてではなく、人生でなによりも先に大事にされる
ラーハを、わたしは、「ゆとり」と「くつろぎ」をたして、「りくつ(理屈)」をひいた言葉
「ゆとろぎ」にしてみました。
「理屈抜きに、いつくしむ生」という意味合いをこめて。
『ゆとろぎ イスラームのゆたかな時間』 著者・片倉もとこ/発行・岩波書店より
73歳、高齢者・障がい者後見人のブログです。
Posted by 黑田よしひろ at 10:55
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